夫のことが嫌いだと、はっきり思ってしまった。そう思った自分に驚いて、なかったことにしようとした。この記事にたどり着く人の多くが、そこを何度も往復しています。
誰にも言えません。友達に言えば「うちもそんなものだよ」で終わりますし、親に言えば心配されるか、我慢しなさいと言われます。夫に言えるはずもありません。言葉にした瞬間に、いまの生活が壊れる気がするからです。
ただ、夫を嫌いになった妻は珍しくありません。令和6年の司法統計では、離婚調停を申し立てた人のうち妻からの申立てが43,033件、夫からが15,396件でした。妻からの申立ては夫の約2.8倍です。そしてその動機の中身を見ると、殴られたわけでも浮気をされたわけでもない人が、かなりの割合を占めています。
この記事では、夫を嫌いになるまでに何が起きていたのかを整理します。離婚をすすめるつもりも、思い直させるつもりもありません。ただ、自分の気持ちに名前がつくと、次に何をするかが決めやすくなります。
夫が嫌いになったのは、ある日突然ではありません
妻いつからだったのか、思い出せないんです。気がついたら、夫の足音がしただけで体がこわばるようになっていて…



思い出せないのが普通です。嫌いになった日というのは、たいてい存在しません。あるのは、期待するのをやめた日のほうです。
「気づいたら夫が嫌いになっていた」と言う人が多い
夫を嫌いになった理由を聞かれて、すぐに答えられる人はあまりいません。決定的な事件があった人なら答えられますが、多くの場合は「これといって何かがあったわけではない」という答えになります。
だから困るのです。理由を説明できないと、周りは深刻に受け取ってくれません。説明できない不満は、存在しないことにされます。自分でも「大したことじゃないのかもしれない」と思い直してしまいます。
けれど、説明できないことと、感じていないことは違います。理由が思い出せないのは、原因が小さすぎて記憶に残らなかったからで、なかったからではありません。
夫を嫌いになる前に、期待をやめた時期がある
順番としては、こうなっていることが多いです。
- 言っても伝わらない、という経験が何度か続く
- 言うのをやめる。言わないほうが早いと気づく
- 期待しなくなる。頼まないし、相談もしなくなる
- 夫の言動そのものが不快になる。声も、においも、生活音も
- 嫌いだと自覚する
3の時点では、まだ本人に自覚がありません。むしろ「怒らなくなった」「言い争いが減った」ので、夫婦仲が落ち着いたと勘違いすることさえあります。夫のほうは、この時期をいちばん平和だったと記憶していることが珍しくありません。
4に入ると、はっきり体が反応するようになります。同じ部屋にいるのがつらい、食事の音が我慢できない、触られたくない。ここまで来て初めて、自分は夫が嫌いなのだと分かります。だから「ある日突然」に感じるのですが、実際には2と3に何年もかけています。



言うのをやめた時期なら、はっきり覚えています。もう5年くらい前かもしれません…
夫を嫌いになった妻が、実際に挙げている動機
感覚の話だけでは進まないので、数字を見ておきます。最高裁判所の司法統計年報(令和6年・家事編 第19表)から、離婚調停を申し立てた妻が挙げた動機です。申立人が妻の事件は43,033件でした。
| 妻が挙げた動機 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 性格が合わない | 16,503 | 38.3% |
| 生活費を渡さない | 12,461 | 29.0% |
| 精神的に虐待する | 11,288 | 26.2% |
| 暴力を振るう | 7,690 | 17.9% |
| 異性関係 | 5,743 | 13.3% |
| 浪費する | 3,662 | 8.5% |
| 性的不調和 | 2,862 | 6.7% |
| 家庭を捨てて省みない | 2,544 | 5.9% |
| 酒を飲み過ぎる | 2,479 | 5.8% |
| 家族親族と折り合いが悪い | 2,358 | 5.5% |
| 同居に応じない | 974 | 2.3% |
| 病気 | 948 | 2.2% |
ここで見ておきたいのは3位です。「精神的に虐待する」を挙げた妻が26.2%、11,288件あります。暴力の17.9%より多いのです。
虐待という言葉は強すぎて、自分には関係ないと感じるかもしれません。けれど調停で使われるこの項目には、殴られていない人が大勢入っています。無視される、話を聞いてもらえない、人前で馬鹿にされる、決めたことを勝手に変えられる。あざが残らないものは、全部この欄に入ります。



「うちは殴られていないから、まだましなほうだ」と考える人はとても多いです。ただ、統計に出ている数だけ見ても、暴力より多いほうに入っている人のほうが多数派です。
「性格が合わない」という言葉に押し込まれているもの
1位の「性格が合わない」は38.3%です。夫側では60.0%が挙げていて、こちらはもっと極端です。
正直に言うと、この項目にはあまり中身がありません。調停の申立書には動機を書く欄があり、そこに「性格が合わない」と書けば、それ以上の説明を求められずに済みます。書きたくないことがある人も、説明のしようがない人も、まとめてここに入ります。
つまり、この38.3%の中には、本当は生活費のことだった人も、無視され続けた人も、相手の異性関係を疑っている人も混ざっています。「性格の不一致」は理由の名前ではなく、理由を言わずに済ませるための言葉です。
自分の気持ちに名前をつけるときも、同じことが起きます。「性格が合わないだけ」で片づけているうちは、次に何をすればいいのかが決まりません。
夫の側は、妻に嫌われていることに気づいていません
同じ統計を、夫が申し立てた15,396件のほうから見てみます。
| 夫が挙げた動機(上位) | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 性格が合わない | 9,233 | 60.0% |
| 精神的に虐待する | 3,358 | 21.8% |
| 異性関係 | 1,820 | 11.8% |
| 浪費する | 1,764 | 11.5% |
| 家族親族と折り合いが悪い | 1,699 | 11.0% |
| 暴力を振るう | 1,441 | 9.4% |
夫のほうは60.0%が「性格が合わない」を挙げています。妻の38.3%と比べて、かなり高い数字です。
ここから読み取れることは一つです。夫は、うまくいかなくなった理由をそれ以上分けていません。生活費のことでも、無視のことでもなく、合わなかったという説明で止まっています。
妻の側が5年も10年もかけて積み上げてきたものが、夫の側では「性格の問題」の一言で処理されている。この差が、話し合いにならない原因です。伝えようとしても、相手はそもそも数え方が違います。



それは、なんとなく分かります。何を言っても「じゃあどうしたいの」で終わるので…



「どうしたいの」は、話を終わらせるための言葉です。悪気があるとは限りませんが、結果として、こちらが答えを出さないと会話が終わらない形になります。
夫を嫌いになる5つのきっかけ
発言小町や知恵袋の相談で繰り返し出てくるものを、5つに分けました。どれも、単体で見れば離婚するほどのことではありません。だから人に説明できないのですが、繰り返された回数で見ると意味が変わります。
1 家事や育児を「手伝う」と夫に言われた
手伝うという言葉は、自分の仕事ではないものに使います。夫がそう言った瞬間に、家のことは妻の担当だと確認されます。
本人に悪気はまったくありません。むしろ協力する気持ちで言っています。そこがつらいところで、悪気のない相手には抗議しにくいのです。抗議すれば、こちらが感情的な人になります。
この種類の不満は、1回では消えません。消えないまま、10年で数百回積み上がります。
2 体調が悪いときに、夫が何もしてくれなかった
熱を出して寝ているのに、夕飯は何かと聞かれた。出産のあと、実家に帰っている間に一度も連絡が来なかった。手術の日程を伝えたのに、仕事の予定を優先された。
この記憶は、他のものと比べて消えにくいという特徴があります。弱っているときの扱いは、相手が自分をどう位置づけているかがそのまま出るからです。何年経っても、そのときの部屋の様子まで覚えている人がいます。



出産の入院中に、夫が一度も来なかったんです。もう15年前のことなのに、いまでも思い出すと腹が立ちます…



15年前のことを引きずるのはおかしい、と自分を責める必要はありません。弱っているときにどう扱われたかは、それだけ重い情報として残ります。
3 夫がお金の使い方を説明してくれない
先ほどの統計で、妻の動機の2位が「生活費を渡さない」29.0%でした。ここには、まったく渡さない人だけでなく、渡す額の根拠を説明しない人も含まれます。
夫の収入を知らない、ボーナスの額を教えてもらえない、クレジットカードの明細を見せてもらえない。聞くと機嫌が悪くなるので聞かなくなった、という話はよく出ます。
お金の不透明さは、ほかの不安と結びつきやすい部分です。使途の分からない出費が続くと、金額そのものより、隠されていることのほうが気になり始めます。
4 大事な話を、夫に笑って流された
子供の進路、親の介護、自分の働き方。時間をかけて考えて、ようやく切り出した話を、テレビを見ながら「そうだね」で終わらせられる。
反対されたわけではないので、けんかにもなりません。ただ、真剣に考えたことを真剣に受け取ってもらえないと、次から相談しなくなります。相談しなくなると、夫は「妻は何も言わない人」だと思うようになります。
ここで夫婦の会話は、業務連絡だけになります。
5 夫が他人に見せる優しさを、自分には見せない
職場の人には丁寧なのに、家では返事もしない。友人の前では気の利いたことを言うのに、こちらの話は最後まで聞かない。義理の家族には愛想がいいのに、自分の親のことは覚えていない。
これがいちばんこたえます。できないのではなく、自分に対してだけやらないと分かるからです。
そして、この5番目は別の意味を持つことがあります。ある時期から急に外での態度だけが良くなった、身なりに気を使い始めた、休日にひとりで出かけるようになった。そういう変化が重なっている場合は、嫌いという感情の話とは別に、確かめておいたほうがいい事実が発生しています。
きっかけが小さいから、人に説明できない
5つ並べて分かるとおり、どれも一つひとつは小さい話です。人に言えば「そんなこと」で片づけられます。実際、自分でもそう思っています。
ただ、嫌いという感情は出来事の大きさで決まるのではなく、繰り返された回数で決まります。1回では何でもないことが、500回目には耐えられなくなります。これは我慢が足りないのではなく、そういう仕組みだということです。



回数の話だと言われると、少し楽になります。私が心が狭いからだと思っていました。
夫が嫌いでも離婚しない妻が多い理由
嫌いだと自覚しても、多くの人はそこから動きません。動かない理由は、だいたい次の4つに集まります。
離婚後のお金の見通しが立たない
最大の理由です。とくに婚姻期間が長く、いまはパートか無職という場合、家賃と生活費をどう作るかが分かりません。
財産分与や年金分割はありますが、いくらになるかは相手の資産を把握していないと計算できません。そして先ほど見たとおり、お金のことを説明してもらえていない家庭は珍しくありません。つまり、離婚の判断に必要な材料を持っていない状態です。
子供の生活を変えたくない
学校を変えたくない、受験の年にぶつけたくない、父親から引き離すのが正しいのか分からない。
「子供が大きくなるまで」と決めて待っている人はとても多いのですが、この期限は延びます。小学校を卒業するまでが、高校を出るまでになり、大学を出るまでになります。悪いことではありませんが、待っている間の年数は自分の年数でもあります。
夫を嫌いになった理由を証明できない
ここが一番やっかいです。相手が離婚に同意すれば理由は要りませんが、同意しない場合、調停や裁判では事実が問われます。
「話を聞いてもらえなかった」「大事にされなかった」は、記録に残っていません。日記があっても、それは自分が書いたものです。気持ちは証明の対象になりにくいという、単純で理不尽な事情があります。
だから、動くと決めた人はまず記録を作り始めます。日付と出来事だけのメモでも、続いていれば意味を持ちます。
記録の付け方
市販のノートで足ります。1行に、日付と起きたことだけを書きます。
- 4/12 生活費7万円。先月より3万円少ない。理由の説明なし
- 4/19 午前2時帰宅。出張と聞いていたが日帰り
- 5/3 子供の進学の話。「好きにすれば」で終わる
感情は書きません。「つらかった」「ひどいと思った」は、あとで読み返したときに自分がしんどくなるだけで、材料にはなりません。事実だけを、淡々と積みます。
スマートフォンのメモでもかまいませんが、夫と共有している端末やクラウドは避けてください。見られたときに、こちらの動きが先に知られます。
「性格の不一致」だけでは決め手にならない
法律で離婚が認められる事情は限られていて、性格が合わないことはそのものずばりの項目には入っていません。実際には「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たるかどうかで判断され、別居期間の長さなどが見られます。
ここは弁護士の領域なので詳しくは書きませんが、要点は一つです。相手が同意しない場合、嫌いという気持ちだけでは進みません。進めるには、別居のような事実か、相手の側の落ち度が必要になります。



じゃあ、私みたいに何も証拠がない場合は、ずっとこのままということですか?



そうではありません。ただ、いま動くかどうかを決める前に、自分が何を知っていて何を知らないのかを分けておく必要があります。知らないままでは、決めようがないからです。
離婚か我慢かの二択ではありません
ここまで読んで、離婚するか我慢するかの二択に見えているかもしれません。実際には、間にいくつか段階があります。
| 段階 | やること | 戻れるか |
|---|---|---|
| 記録を始める | 日付と事実をノートに残す | いつでも戻れる |
| お金を把握する | 収入、預貯金、保険、ローンを調べる | いつでも戻れる |
| 事実を確かめる | 思い当たることの有無をはっきりさせる | 知る前には戻れない |
| 別居する | 生活を分ける | 戻った例はある |
| 離婚を切り出す | 相手に伝える | 関係は変わる |
上の二つは、相手に知られずにできますし、やめたければいつでもやめられます。離婚を決めていない人でも、ここまではやっておいて損がありません。
別居については、勢いで家を出ると不利になる場合があります。生活費をどうするか、子供をどうするか、荷物をどうするかを決めずに出ると、そのまま帰れなくなることがあるからです。別居を考えている場合は、先に見通しを立ててください。
離婚しないという選択は、逃げではありません
いろいろな事情を並べたうえで、離婚しないと決める人がいます。この選択が我慢や妥協だと言われることがありますが、そうとは限りません。
問題なのは、決めていない状態が続くことのほうです。「離婚しない」と決めた人は落ち着きますが、「決められない」人は消耗し続けます。同じように見えて、中身がまるで違います。
夫が嫌いなのに一緒にいる状態が続くとどうなるか
決められないまま何年か過ぎると、いくつか決まった変化が出ます。
夫が嫌いな状態は、先に体に出る
夜中に何度も目が覚める。寝ようとすると夫のことを考えてしまう。食欲が偏る。夫が帰宅する時間になると動悸がする。休日の朝がいちばんつらい。
この段階では、本人は原因を夫だと思っていません。年齢のせいだ、更年期だ、疲れているだけだと考えます。実際にそれらが重なっていることも多いので、切り分けが難しいところです。
目安になるのは場所です。家にいるときだけ症状が出て、外出中や実家では出ないなら、原因は体ではなく環境のほうにあります。
感情の振れ幅が小さくなる
怒らなくなります。泣かなくなります。同時に、うれしいこともあまり感じなくなります。
家庭の中で感情を出さないようにしていると、その状態は家の外にも持ち出されます。友人と会っても楽しくない、趣味が面白くない、何を食べても同じ、といった変化が出てきます。
これを「落ち着いた」と表現する人がいますが、落ち着いたのではなく、反応を止めているだけです。



言われてみると、最近は何を見ても心が動きません。人としてどこかおかしくなったのかと思っていました…
夫の変化に気づかなくなる
ここは注意しておきたいところです。夫に関心を持たなくなると、夫の側の変化も見えなくなります。
帰りが遅くなった、スマホを伏せて置くようになった、出張が増えた、休日に一人で出かけるようになった。関心があれば気づくことですが、関わりたくない相手の行動は、意識して見ないようにしています。
それで平穏に済むならいいのですが、あとになって事実が出てきたときに困ります。財産分与や慰謝料の話になったとき、いつから何が起きていたのかを、まったく答えられない状態になっているからです。



関心を戻せという話ではありません。ただ、日付と事実だけは記録に残しておくと、あとで自分を助けます。感情は書かなくてかまいません。
誰にも相談できなくなる
最初のうちは友人に話しています。ところが何年か経つと、話さなくなります。
理由は二つあります。一つは、何度も同じ話をしていることに自分で気づくからです。もう一つは、相手の反応が決まっているからです。「どこもそんなもの」「男の人はそういうもの」「離婚したら大変よ」。悪気はありませんが、こちらの話は終わります。
親にはもっと言えません。心配をかけたくないという気持ちもありますし、離婚をすすめられても止められても困るからです。
結果として、家の中でも外でも本当のことを言わない生活になります。この状態がいちばん人を消耗させます。夫のことがつらいのではなく、誰にも言えないことがつらい段階に移っています。



友達に話すのは、もうやめました。心配させるだけですし、結局その場が重くなるので…
「どうでもいい」と「嫌い」は別のものです
嫌いという感情には、まだ相手への関心が残っています。腹が立つのは、期待の残りがあるからです。
どうでもいい、になると関心がありません。ここまで来た夫婦は、けんかもしませんし、会話もしません。外から見ると仲のいい夫婦に見えることさえあります。
自分がどちらにいるかは、判断の材料になります。嫌いの段階なら、関係が動く可能性が残っています。
夫を嫌いになった気持ちは戻るのか?



正直に言うと、戻りたいのかどうかも分からないんです。



そこが分からないうちに決めなくていいと思います。まず、戻った人と戻らなかった人で何が違ったのかを見てみましょう。
気持ちが戻った夫婦に共通していること
元どおりになった、という人はほとんどいません。戻ったと言う人が言っているのは、別の形になったという意味です。
共通しているのは、夫の側に何らかの変化があったことです。仕事が変わって家にいる時間が増えた、親の介護が始まって初めて家庭のことを考えた、大きな病気をした。自発的に反省したというより、環境が変わって行動が変わっています。
もう一つは、妻の側が期待の水準を下げていることです。分かってもらうことを諦めて、やってもらうことだけを求めるようにした人が、比較的うまくいっています。身も蓋もない話ですが、実際そうです。
夫は変わるのか、という問い
いちばん多い質問です。正直に答えると、話し合いで変わった例はあまり聞きません。
変わった人がいるのは事実ですが、そのきっかけはたいてい話し合いの外にあります。妻が本気で出ていく準備をしていると分かったとき、収入が下がって家の中の力関係が変わったとき、体を壊して人に頼らざるを得なくなったとき。言葉ではなく、状況が変わったから行動が変わっています。
逆に言うと、こちらが説明を尽くせば伝わるはずだと考えているうちは、消耗が続きます。伝わらないことを何年もかけて確認したのが、いまの状態です。



それは、かなりはっきり言いますね…



期待を持たせるほうが親切に見えますが、その期待でまた何年か過ぎるくらいなら、はっきり書いたほうがいいと思っています。
戻らなかった場合に起きること
戻らなかった夫婦は、二つに分かれます。別居や離婚に進んだ人と、そのまま同じ家で数十年続けた人です。
後者を選んだ人の話でよく出るのは、子供が独立したあとのことです。子供という共通の話題がなくなると、家の中の沈黙がはっきりします。定年で夫が一日中家にいるようになって、初めて限界が来たという話は珍しくありません。
いま我慢すれば楽になる、という種類の問題ではないということです。
決める前に、事実を一つだけ確かめておく
戻すか、離れるか、このまま続けるか。どれを選ぶにしても、判断に効いてくる事実が一つあります。夫の側に他の相手がいるかどうかです。
いない場合、話は夫婦二人の問題です。時間をかけて考えられますし、修復に向けて動く意味もあります。
いる場合は、条件が変わります。慰謝料や財産分与の話が出てきますし、こちらが我慢して待っている間に、相手の側で状況が進んでいることになります。同じ「決めない」でも、意味がまったく違います。
疑うほどのことは何もない、という場合はここで終わりです。ただ、思い当たることがあるのに見ないようにしている場合、その状態は決めていないのではなく、決められない状態を自分で作っていることになります。



思い当たることは、あります。ただ、確かめて何もなかったら、疑った自分が嫌になりそうで…



白だった場合にどうするかは、先に考えておいたほうがいいです。そこを決めずに動くと、結果がどちらでもつらくなります。
確かめないという選択もあります
知らないままでいると決める人もいます。知ってしまうと戻れないから、というのが理由です。
この選択が間違っているとは思いません。ただし、これも決めた場合に限ります。「怖いから先延ばしにしている」のは選択ではなく、保留です。保留の期間は、そのまま自分の時間から引かれます。
夫が嫌いな妻からよくある質問
夫が嫌いだと思ってしまうのは、自分がおかしいからですか?
おかしくありません。令和6年の司法統計では、妻から申し立てられた離婚調停が43,033件あります。調停まで行っていない人を含めれば、もっと多い数の人が同じ状態にいます。
ただし、自分を責める気持ちが強くて眠れない、食べられない、涙が止まらないという場合は、話が別です。感情の問題としてではなく、体の不調として医療機関で相談したほうがいい段階に入っています。
夫が嫌いでも、子供のために我慢すべきですか?
ここは他人が答えられません。ただ、判断の材料として二つ書いておきます。
一つは、子供は夫婦の空気を読むということです。けんかをしていなくても、会話のない家であることは伝わります。もう一つは、我慢の期限が延びやすいことです。「子供が大きくなるまで」と決めた人の多くが、実際にはその先も続けています。
我慢するなとは言いません。ただ、期限を具体的な年月で決めておかないと、期限のない我慢になります。
夫を嫌いになったことを、本人に言うべきですか?
離婚に向けて動くと決めているなら、伝え方を考えたうえで言う場面が来ます。決めていないなら、急がなくていいと思います。
感情の勢いで伝えると、たいてい相手は防御に回ります。防御に回った相手は、証拠になりそうなものを片づけますし、財産の動かし方も変わります。先に言ってしまうと、そのあとに確かめられることが減ります。順番の問題です。
夫が嫌いという気持ちは、病気のサインですか?
気持ちそのものは病気ではありません。ただ、体に出る症状のところで書いたとおり、体の症状として出ていることがあります。
2週間以上、眠れない日が続いている。体重が短期間で減った。朝起きられない。こうした状態が出ているなら、原因が夫であるかどうかにかかわらず、先に体のほうを診てもらってください。判断力が落ちている状態で大きな決断をすると、あとで後悔しやすくなります。
夫が嫌いで離婚したい場合、何から始めればいいですか?
弁護士に相談するのは、材料がそろってからで間に合います。先にやることは二つです。
一つは、お金の把握です。夫の収入、預貯金、保険、住宅ローンの残り、年金の記録。離婚後にいくらで暮らすことになるのかは、これが分からないと計算できません。
もう一つは、記録です。日付と出来事だけを、続けて残します。感想はいりません。「何月何日、生活費が入らなかった」「何月何日、朝まで帰らなかった」で十分です。
夫が嫌いですが、離婚したいわけではありません。それでもいいのでしょうか?
かまいません。嫌いという感情と、離婚したいという意思は別のものです。両方そろっている人のほうが、むしろ少数です。
ただ、離婚しないと決めているなら、そのうえで生活をどう楽にするかという話に切り替えられます。夫と関わる時間を減らす、自分の収入を作る、家の中に自分の場所を確保する。関係を良くすることを目標から外すと、できることが増えます。
夫が嫌いになったことを、子供に話してもいいですか?
子供の年齢によりますが、父親を嫌いだと伝えるのはすすめられません。子供は板挟みになりますし、あとで自分を責める材料になります。
ただし、隠しきれていると思わないほうがいいです。会話のない家庭であることは、言わなくても伝わっています。子供が成長してから「なんで我慢していたの」と言われることのほうが多いくらいです。
伝えるとすれば、父親の評価ではなく、自分がどうしようとしているかです。事実を隠さない範囲で、悪口にしない。難しいのですが、そこが分かれ目になります。
夫を嫌いになったのは、更年期のせいですか?
年齢による体調の変化で、いらだちが強くなることはあります。ただ、それだけで説明できるかどうかは切り分けられます。
夫以外の人にも同じようにいらだつなら、体調の要素が大きい可能性があります。夫にだけ強く出るなら、体調は引き金であって、原因は別にあります。「更年期だから」で片づけられると腹が立つのは、そのためです。
嫌いだと気づいたところから、何をするか
夫が嫌いだと自覚した時点で、すでに何年かかけています。その何年かは、我慢が足りなかったのではなく、言っても伝わらないことを確認し続けた期間です。
いますぐ離婚を決める必要はありません。ただ、決めないままにしておくと、判断の材料だけが減っていきます。夫の収入も、資産も、行動も、時間が経つほど分からなくなります。
やることは、記録を始めることと、思い当たることがあるなら事実を確かめることの二つです。どちらも、離婚すると決めていなくてもできます。むしろ決めていない段階のほうが、静かに進められます。
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出典:最高裁判所「令和6年 司法統計年報 3 家事編」第19表 婚姻関係事件数-申立ての動機別申立人別








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